旧約聖書『創世記』には、アダムとイブが最初の人間と記されています。アダムとイブは神から与えられたエデンの園(楽園)に平和に暮らしていました。しかし、蛇の誘惑により、アダムとイブは禁断の「善悪の知識の木の実」を食べてしまい、神にエデンの園(楽園)から追放されます。

人間の胎児は妊娠期間中、通常約280日間お母さんのお腹にいます。胎児にとって、お母さんのお腹は安全で、自由で、まさに楽園そのものです。しかし、約280日が経った頃、子宮が急に胎児を外に出そうとします。そして、胎児はたった10㎝の産道という絶望のトンネルをお母さんと協力しながら、無事通過することでようやくこの世に誕生されます。

医療が発達しなかった20世紀初までは乳児の死亡率が高く、韓国、中国、モンゴル、日本など東アジアの国では、無事100日を迎えられたお子さんをお祝いする風習がありました。

韓国の生後100日祝い=「ペギルチャンチ(백일잔치)」の由来は、妊娠期間の280日に生後100日を足すと、ちょうど生命体が出来て一年になるからだとか。また、韓国で100という数字には「完全(완전함)」「すべて(모든)」「全部(다)」 の意味があり、寝返りなど色んな成長を見せ始める生後100日頃に、祝福の意味を含めてお祝いするそうです。

日本の生後100日祝いは「百日祝い(ももかいわい)」と呼ばれます。他に、お食い初め」「箸揃え」「箸祝い」「真魚始め」(まなはじめ)と呼ばれる場合もあります。お子さんが一生食べ物に困らないように願いを込めて、食べ物を食べさせるふりをする儀式です。

韓国と日本の生後100日祝いの共通点として、どちらもお祝い膳を用意します。ただし、内容がそれぞれ違います。日本のお祝い膳は、日本古来の献立「一汁三菜」が基本とされてきて、鯛、赤飯、吸い物、煮物、香の物が献立となります。一方、韓国のペギルチャンチでは、白いご飯、わかめスープ、ペッソルギ(백설기)、高粱あずきギョンダン(수수팥경단)、ソンピョン(송편)や旬の果物などをペギルサン(백일상)に飾ります。

また、韓国のお祝い膳は親族や友人、隣人など、なるべく多くの人とシェアして食べた方が、お子さんが長寿すると伝わっています。

このように韓国と日本の百日祝いのお祝い方は違うけれど、お子さんの将来の長寿と多幸を祈る意味では共通しています。

一生に一度きりの儀式--百日祝い。アダムとイブは自分たちの子孫が楽園を失った100日後に、盛大にお祝いすることを想像もしなかったでしょう!

注:本記事の一部は筆者の妄想の領域だと思って頂ければ助かります(((´∀`))ケラケラ