トルチャンチとは

1.トルチャンチ(First Birthday Party)とは

トル(Dol)とは、赤ちゃんが生まれて一年になる日のこと。チャンチ(Cianci)とは、韓国語でお祝いのこと。英語のPartyと同じ意味。つまり、トルチャンチ(Torcianci)は、1歳誕生日パーティーのことです。

韓国では、トルチャンチは伝統イベントの一つとして、結婚式並みに盛大にお祝いします。トルチャンチの日には、親族や友人、職場の仲間まで招待し、みんなで食事しながら赤ちゃんが満一歳をお祝い致します。昔は自宅で行っていたのですが、最近は、ホテルやレストランを貸し切って行うのが主流になりました。

ⓒ (주) 천재교육 | BY-NC-ND 「韓国伝統三大イベント」

医学がまだ発達していない昔、生後1年の赤ちゃんの死亡率が高く、1歳の誕生日を迎えられないまま亡くなってしまうことも多かったそうです。そのため、満1年を乗り越えた赤ちゃんには1歳を迎えられた喜びを祝うイベントとしてトルチャンチが開かれ、今もその風習が続いているのです。

2.トルチャンチの歴史


ⓒ (주) 천재교육 | BY-NC-ND 「昔のトルチャンチ風景」

韓国のトルチャンチの由来は、中国から伝わったと記録されていて、韓国のトルチャンチに関する記録は「国朝宝鑑」(Kukcho-pogam)に記録されています。現在、韓国の国立中央博物館に保存されている朝鮮後期の画家 金弘道(1745~1806以後)氏の「平生図」には、朝鮮時代のトルチャンチの風景が描かれています。

3. トルチャビとは


「トルチャビ」風景

トルチャンチのメインイベント―トルチャビ。トルチャビとは、子供の前に供えられた御膳に本、鉛筆、木綿糸、お金などを置いて、子供に好きに選ばせます。子供が何を掴むかによって、将来どんな人物になるかを占うイベントのこと。日本でも初誕生日には「選び取り」といった行事を行なうそうですが、トルチャビは「選び取り」に近いかもしれません。

トルチャビは本当の占いというよりも、主人公の愛らしい姿をみながら、子供の健康と明るい未来を願う楽しいイベント。トルチャンチのハイライトといえるでしょう。韓国人は、大体自分がトルチャビに時に、何を掴んだか知っているので、話題にするのも面白いかもしれません。

〈トルチャビに置くものと意味〉

  • 木綿糸、麺 : 長寿
  • ナツメ: 子孫繁栄
  • 米: 食べ物に困らない、裕福
  • お餅 :丈夫で、多福
  • お金 :富
  • 弓: 逞しい将軍
  • 刀 :一流シェフ
  • 糸針/尺: 手が器用
  • 本、墨、掟、筆、紙、鉛筆:学者
  • マウス:コンピュータやIT関連の分野で成功する
  • マイク:芸能人やアナウンサーなどの分野で成功する
  • 聴診器:お医者さんになって成功する

4.トルチャンチの料理


ⓒ (주) 천재교육 | BY-NC-ND 「トルチャンチの料理」

トルチャンチの料理には、果物、ソルギケーキ、ナツメ、セリ、お魚、お肉など様々なものが並べられます。
これらの料理を並べたテーブルをトルサンといいます。トルサンの上に並べられた食べ物には、悪を払い、福を頂くとの意味が込められています。韓国の伝統お祝い膳には、お餅が欠かせないです。トルチャンチも同じで、ペクソルギからススパット、ソンピョン、インジョルミ、ムジゲトなどさまざまなお餅が登場します。


「ソンピョン」

  • ペッソルギ:伝統お祝いには欠かせない基本のお餅。白い色は純潔や神聖さを表し、無病息災、健康長寿を意味します。最近のペッソルギは進化し、ペッソルギの上に餡子で絞った華を載せるアンフラワーソルギケーキも最近、人気です。
  • ススパット:子供のお祝いには定番のお餅。お餅と小豆でつくるお餅で、徳がつめる(子
    供が幸せになれる)という意味があります。韓国では、小豆の赤は邪気を払
    うという考えがあり、悪い運気を払うとも言われています。
  • ソンピョン:餃子のような形をした、中に餡子が入っているお餅。トルチャンチでは、
    それぞれ味が違うだいたい5色をご用意します。5色は5福といいまして、五つの福をもたらしてくれます。

上記以外にも、インジョルミ(きな粉がまぶしてあるお餅)やムジゲト(菱餅のようなカラフルなお餅)を並べても良いでしょう。

5. トルチャンチの服装

トルチャンチでは、主人公はもちろん、パパもママも正装して参加します。家族全員の韓服(ハンボク)の色合いを揃って、記念撮影をするのも最近は人気のようです。

ⓒ (주)천재교육 | BY-NC-ND 「トルボク」

トルチャンチの日には、主人公に伝統衣装である「トルボッ」を着せます。「トル」は一歳のことで、「ポッ」は服ことですが、福とも発音が同じです。

トルボッは、男の子と女の子で着るものが違います。女の子にはチマチョゴリと唐衣(タンウィ)と呼ばれる礼服を着せて、額の部分に飾りの付いたチョバウィという帽子を被らせます。男の子にはパジチョゴリを着せます。その上に、チョンボク(ベスト)やポッコン(帽子)トルティ(帯)を着用させます。

昔、トルチャンチを迎える前の赤ちゃんは、鮮やかな服を着せないで、主に白がメインだったそうです。トルチャンチの日から鮮やかな服を着せるとも言われていますが、トルポッには主に五方色(セットン色)をよく使われます。こちらは、悪払いや福を頂くための(陰陽五行說)によるものだそうです。万物の調和を意味する五方色をドルボッに使用するのは、邪の気運を抑え、赤ちゃんの無病長壽を祈願する意味があります。五方色とは、青、赤、白、黒、黄色のことです。トルサンにも、こちらの五方色をした小物をよく使います。

6. トルチャンチ 流れ

トルチャンチの流れは地方によって、多少違いはありますが、大まかな流れは以下のような感じになります。

  1. パパママご挨拶
  2.  成長動画上映
  3.  感謝状伝達
  4.  ケーキカッティング&祝杯
  5. トルチャビ
  6. プレゼント贈呈
  7. 締めのご挨拶

域によって、トルチャンチの当日、三神床という3つの神様をお祭り、子供の福と長寿を願う儀式を行う所もあります。古くから韓国人は桓因(ファンイン)、桓雄(ファンウン)、檀君(ダンクン)といった三つの神様の子孫だと考えていて、トルチャンチでもお祭りするようになりました。


韓国学中央研究院 「三神床」

7. トルチャンチ 準備

韓国のトルチャンチの準備は結婚式と似ていると言っても過言ではありません。以下の
準備項目を見るとお分かりになると思います。子育てしながら、トルチャンチをすべて自分で用意するのは、簡単なことではありません。そのため、韓国ではトルチャンチ専門業者に依頼する人がほとんどです。

  1. 会場選定
  2. 写真撮影(スタジオ写真、成長動画撮影、当日のトルチャンチの撮影、後記)
  3. トルチャンチイベント(招待状、引き出物)
  4. トルチャンチ装飾(伝統、現代風)
  5. 衣装およびメイクアップ(衣装レンタル、当日のメイクアップ&ヘアアレンジ)
  6. トルチャンチ進行(司会者、スタッフ、託児、トルサン設営業者)
  7. トルチャンチ後記(アルバム制作、写真/ビデオ整理)

8. トルチャンチ お祝い金

韓国ではトルチャンチに招待されたら、プレゼントやお祝儀を包むのがマナー。親族以外の方のお祝儀相場は5万ウォン~10万ウォンぐらいでしょう。日本では、1万~2万が妥当でしょう。

プレゼントの場合、純金のものがよく、金の指輪や腕輪が代表的。金の指輪を贈る意味は陰陽五行から由来しているといわれています。生まれたばかりの赤ちゃんは、五行の中の土の気運にあたる肝臓、胃、膵臓といった消化器官が弱まっているとの言い伝えがあります。五行の中の金は木の気運を排除し、土の運気をよくするので、金のプレゼントを送ることで、赤ちゃんの健康を願うようになったそうです。

9.トルチャンチ お返し

昔、トルチャンチの日には、お皿にお餅を載せて、隣人や友人に配ったそうです。それが、トルトッグというものです。トルトッグをもらった隣人は、頂いたお餅を載せた皿に、お米屋、糸をお返しする風習があったそうです。今は、答礼品といいまして、トルチャンチに参加した親族や友人に、タオルやタンブラーといったお引き出物を出すようにしています。

10. トルチャンチ 飾り付け

伝統トルチャンチと現代トルチャンチの飾り付けは大きな差があります。伝統トルチャンチは、背景幕や屏風で飾るのが特徴で、お祝い膳も伝統的なものがほとんどです。現代トルチャンチは、風船と華などで飾るのが特徴です。伝統的なトルチャンチの方は陰陽五行によるもので、より伝統風習を重視しますが、風船や華などで飾る現代トルチャンチは、よりモダンな雰囲気を出せますので、みなさん、自分達の好まれるスタイルを選んでトルチャンチを行います。